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作品 > 建築 > 設計監理 > 善了寺 聞思堂

「善了寺 聞思堂 (もんしどう)

Zenryoji Monshido
神奈川県横浜市戸塚区矢部町125
正面が善了寺本堂 右手が聞思堂 −写真/浅野 豪

命とつながる大地のお堂

 善了寺 聞思堂の建設は、地域コミュニティの活性化を柱に、地元戸塚で平和・環境・福祉の三分野を統合する環境文化活動を実践してきたNPO法人カフェ・デラ・テラと、宗教法人 善了寺との協働事業としてスタートしました。東日本大震災と福島第一原発事故が勃発したのは、基本設計に取りかかって間もない頃。善了寺とカフェ・デラ・テラは、ただちにお堂の建設そのものを東北の震災復興支援事業として位置づけ、使用するすべての木材を、被災した宮城県栗原市の「栗駒木材」に発注することを決定しました。東北の森とつながって、聞思堂に新たな命が吹き込まれたのです。

 聞思堂の設計では「天然住宅」の相根昭典氏と「非電化工房」の藤村靖之氏に多くのアドバイスをいただきました。経済効率最優先の社会が切り捨ててきた暮らしの思想、ゆるやかに循環するもの、ローカルなものとつながり直し、つつましく、美しい、エコロジカルなライフスタイルの創造をめざす「スローデザイン」は、両氏の豊かな知恵と優れた技術に出会って厚みと奥行を増しました。太陽と、木とわらと土の力を借りてゆっくり呼吸する聞思堂は、3.11後を生きる私たちの魂が遊び、還っていくふるさと。地域とともに歩む「コミュニティカフェ」であり、命とつながる大地のお堂なのです。

戸塚のオアシス 善了寺境内 −写真/浅野 豪 正面入口 −写真/浅野 豪

 

概要

寺院集会場(第二本堂、接待所、コミュニティスペース)/木造軸組工法平屋建の新築工事/建築面積 125.87u、延床面積 102.69u/設計期間 2010年9月〜2011年7月/工期 2011年 8月〜2012年4月

夜の聞思堂入口 −写真/浅野 豪 右側:ストローベイルの陳列棚 中央:カウンターと厨房 −写真/浅野 豪 接待所から六角厨子のある祭壇を望む −写真/浅野 豪 穴太衆積の基壇と入口前のデッキ −写真/浅野 豪

■企画: 宗教法人 善了寺
■企画協力: 辻 信一 (明治学院大学教授)、NPO法人 カフェ・デラ・テラ (代表理事 藤谷恵一)
■設計監理: 一級建築士事務所 大岩剛一住環境研究所
■藁積・竹小舞組・土塗ワークショップ指導: カイル・ホルツヒューター (スローデザイン研究会)
■協力(使用材料アドバイザー): 相根昭典(天然住宅)
■協力(温熱環境アドバイザー): 藤村靖之(非電化工房)
■協力(基礎構造設計): 加藤正之(加藤正之建築研究所)
■協力(穴太衆積アドバイザー): 粟田純司(文化財石垣保存技術協議会)
■椅子、テーブル・デザイン及び制作: 田中英一(ラボラトリー)
■厨子制作:はせがわ美術工芸
■ワークショップ運営: NPO法人 カフェ・デラ・テラ
■ワークショップ協力: 戸塚宿東集会、とつか宿駅前商店会、ナマケモノ倶楽部、泣Jフェスロー、スローデザイン研究会
■施工:<建築工事: 幹建設(内田幸次)>
現場監督: 諸澤幹男
大工棟梁: 鏡 今朝則
<木材: 素材工房(相根昭典)/栗駒木材(菅原正義)>
<椅子・テーブル製材: オグラ(小椋敏光)>
<左官工事: カイル・ホルツヒューター(協力:新田和典/石田和之/高田昌彦/浅野史裕/渡部雅寛)>
<石工事(穴太衆積): 粟田建設(粟田純徳)>
<床暖房工事・防蟻工事・畳工事: 素材工房(相根昭典)>
<太陽光パネル: サステナジー(三木 浩)>

→ 主な建築材料と産地 (※別ウインドウで開きます)
→ 主な既製品材料 (※別ウインドウで開きます)
→ 主な設備 (※別ウインドウで開きます)

接待所の円形の内壁はストローベイルの上に竹小舞 接待所の円形の内壁はストローベイルの上に竹小舞


わら・竹・土のワークショップ
わら積み 竹小舞組み 土塗り
わら積み 竹小舞組み 土塗り


石貼りワークショップ
穴太衆積の基壇 穴太衆積の基壇

形も大きさもまちまちな自然石を積み、セメントで固めずに石垣をつくる。滋賀県大津市坂本を拠点に、穴太衆(あのうしゅう)積みと呼ばれる伝統的な石積み技術を継承する粟田純徳石匠が、聞思堂の基壇の石積みを手がけました。

基壇の石を積む穴太衆・粟田純徳石匠 石張り 石張り

■株式会社 粟田建設 http://www.geocities.jp/awata_i/index2.html