プロジェクト

藁の家はスロー・デザイン

「セレス」の納屋(オーストラリア) 近年、世界各地に広がり始めたストローベイル・ハウス(straw‐bale house)、通称「藁の家」と呼ばれる建築様式があります。これは、圧縮した藁のブロック(ストローベイル)の上から土を塗った厚い壁をもつ建築で、抜群の断熱性と調湿性、蓄熱性、遮音性があります。しかも有害な化学物質とも無縁な低エネルギー、環境循環型の建築です。在来の木構造と組み合わせたストローベイル・ハウスには耐震性もあります。また、建主や素人も家づくりに参加できるので、家に対する愛着を育むことができ、人と人のつながりが生まれます。曲線を自由に生かせる造形的面白さも魅力のひとつでしょう。

建設中のストローベイル・ハウス(北部カリフォルニア)  ストローベイル・ハウスは19世紀の後半に北米で生まれた建築様式ですが、藁はもともと日本でも身近に活用されてきた、優れた循環型の素材です。藁という素材をもう一度私たちの住文化の中に取り戻すことには意味があります。単に欧米のまねではない、もともと私たちの身近にあった素材や、地域に息づく優れた技術と豊かな知恵を生かした家づくりにつながるからです。

 海外の森林と石油に依存し、素材の規格化と工期の短縮を競う今日の家づくりは、私たちの健康にも地球環境にも大きな負荷を与えるものになっています。残念ながら、持続可能な住環境とはほど遠い現状と言わざるをえません。スローデザイン研究会は、低エネルギー・環境循環型の藁の家を、新しいライフスタイルを象徴する建築モデルとして位置づけています。伝統的な技術に出会い、人と人のつながりを取り戻しながら進めるスローな家づくりを、共に進めていきませんか。


ハサガケと里山(千葉県鴨川市大山千枚田) シュロ縄で竹を縛ってベイルを固定(「風流」)

スローデザイン研究会がデザインした藁の家

 

スロー・カフェはスロー・デザイン

「カフェスロー」のインテリア 環境文化NGO「ナマケモノ倶楽部」の拠点であり、さまざまな環境保護運動の情報発信基地でもある「カフェスロー」のデザインを、私たちスローデザイン研究会が手がけたのが2001年。その「カフェスロー」が発信源となって、以来「スローライフ」というオルタナティブな物語を掲げて生き方の転換を図る人たちが増え、「スロー・カフェ」というビジネスがムーブメントになって全国に広がっていきました。スロー・カフェは地域コミュニティの中に根を下ろし、情報発信とさまざまなジャンルの人々をつなぐコミュニケーションと交流の場として定着しつつあります。

土の燭台(「風流」)  こうした動きに呼応するように、ストローベイルを建築の外壁やインテリアの内装に取り入れてカフェをつくる人たちが増えています。藁と土が、まるで新しい生き方のシンボルのようにカフェに使われているのです。2009年、ナマケモノ倶楽部の誕生10周年を機に改定された「スロー・カフェ宣言」には、スロー・カフェであるための条件として、「ひとつ、スロー・カフェはスロー・デザイン」の一項がつけ加えられました。つまり、環境に負荷をかけず、人や地域、自然とつながりながら、住にかかわるライフスタイル全般を見直すためのデザインを提案することが、スロー・カフェという新しい物語には欠かせないからです。食とともに、まわりの環境との関係や住のあり方をも見直し、多様なつながりを生むコミュニティづくり。それがスローデザイン研究会の進めるスローカフェ・ムーブメントです


土塗りワークショップ(琵琶湖の家) 藁の収穫

スローデザイン研究会がデザインしたスロー・カフェ