自由帖

レポート: ストローベイルハウスをつくろう!わら積み・土塗りワークショップ (2016年8月20日~22日 滋賀県大津市)

ストローベイルハウスをつくろう!わら積み・土塗りワークショップ

大津市北部の琵琶湖をのぞむ山裾の地で、ストローベイルを使った個人宅新築のわら積み・土塗りワークショップが開催されました。その模様を簡単ですがご報告します。

ワークショップには地元・滋賀はもちろん、南は福岡から北は仙台まで、日本各地から様々な年齢、職業の方々が参加されました。3日間でのべ120人あまりが参加されたということで、ストローベイル建築への関心の高さがうかがえます(人数はスタッフ、関係者を含む)。また、過去にワークショップを経験された方も何人か参加されていました。ストローベイルのワークショップはとても楽しくて、一度参加するとやみつきになるのだそうです。

当日初めてお会いしたはずなのに、どこかでお会いしたことがあるような親近感のある方たちばかりで、ワークショップが始まる前から、現場にはすでにいい空気が流れていました。

まずは、設計の大岩剛一氏による、ストローベイル建築の説明がありました。お話しを聞きながら、人と人、人と自然が「つながりなおす」わらの家の意義を再認識し、そんなワークショップに地元・滋賀県で参加できる幸運を噛みしめました。

ストローベイルハウスをつくろう!わら積み・土塗りワークショップ ストローベイルハウスをつくろう!わら積み・土塗りワークショップ

ストローベイル建築の経験豊富な大工さんやスタッフさんのご指導のもと、経験者の方々も随所で活躍されながら、着々とストローベイルが運ばれ、積み上げられ、また時には1つのベイルが2つに切り分けられて、壁面を埋めていきます。

ストローベイルハウスをつくろう!わら積み・土塗りワークショップ ストローベイルハウスをつくろう!わら積み・土塗りワークショップ P8200831_R

風通しがよかった室内は、あっという間にわらのブロックに包まれてホットな空間に(笑)。
8月のまだ暑い時期なので、こまめにマイカップで水分補給をしながら、熱中症に気をつけて作業が進められました。

ストローベイルハウスをつくろう!わら積み・土塗りワークショップ ストローベイルハウスをつくろう!わら積み・土塗りワークショップ ストローベイルハウスをつくろう!わら積み・土塗りワークショップ

お昼には、琵琶湖の対岸にある cafeネンリンさん(同じくストローベイル建築)から、オーガニック弁当のケイタリングがありました。美味しいごはんを頂きながら、順番に自己紹介をしたり、話しがはずみました。

ストローベイルハウスをつくろう!わら積み・土塗りワークショップ ストローベイルハウスをつくろう!わら積み・土塗りワークショップ

わら積みは順調に進んで、ワークショップ2日目からは、土塗りの段階へ。
わらを混ぜ込んで寝かせた土は独特の香りがします。家を建てているのに、まるで田植えの季節に田んぼの中にいるようです。大人も子どもも腕まくりして泥にまみれながら、積み上げたわらブロックの上に、ペタペタと無心に土を塗っていきます。枯草色だった壁面が、ゆっくりと深いグレーの土色に覆われていきます。

ストローベイルハウスをつくろう!わら積み・土塗りワークショップ ストローベイルハウスをつくろう!わら積み・土塗りワークショップ ストローベイルハウスをつくろう!わら積み・土塗りワークショップ

お天気にも恵まれ、たくさんの参加者のご活躍により、ワークショップの工程は予定よりも半日ほど早く終わりました。最後は記念撮影をして、一本締めでワークショップは終了となました。3日間ずっと参加された方もいて、連絡先を交換したり、名残をお惜しみながらのお別れでした。皆さま本当にお疲れ様でした。

ストローベイルハウスをつくろう!わら積み・土塗りワークショップ ストローベイルハウスをつくろう!わら積み・土塗りワークショップ

わら積みと土塗りの工程は無事に終了しましたが、この後この家がどんな風に仕上げられるのか、そしてどんな風に育っていくのか、とても楽しみです。ストローベイルを覆う土がほどよく乾いてベージュ色になる頃に、またぜひ訪れたいと思っています。

 

レポート: 和久あいこ (スローデザイン研究会)

産業用大麻栽培者 上野俊彦さん講演会~善了寺本堂等新築関連事業に寄せて~

 三人麻

あっという間に予約がうまった今回の講演会は、上野さんのお話に胸をふくらませる人達でいっぱいになった。

100年前の麻袋をかたわらにお話になる上野さん。麻の今と昔をつなぐ人だ。

 

人生、何が起こるかわからない。

上野さんは、国際ジャーナリストを志していた。世界50カ国に足を運び大麻と出合った。そこで絶対ダメだと思っていた大麻への見方が変わりはじめる。帰国後、大麻の栽培免許を取得した知人に賛同し従事する。

 

3年前の東日本大震災の年、大麻栽培を完全にあきらめ、のびのび子供を育てるため「森の幼稚園」のある鳥取県智頭町へ移住した。移住して1年もたたない時、畑にやってきた長老から、昔、智頭町が麻の産地だった話を聞く。長老に大麻栽培を勧められるが、栽培免許は簡単にとれるものではなく、その気になれない。そんな上野さんに長老は100年前の麻袋と麻ひもを手渡した。握らされた右手から上野さんの体内にビリビリ電流のような衝撃が走り、大麻栽培をやるスイッチが脳に入ったそうだ。翌日から取材に奔走していたという。

 

上野さんが意図しなくても、まるで必然のごとく大麻を栽培する流れがあったようだ。

町役場、町長、知事らを巻き込み産業用大麻栽培の免許がおりた。まさか自分が栽培するとは思ってもいなかったと上野さんは振り返る。智頭町で60年ぶりに日本古来の大麻栽培が復活した。

 

上野さんの大麻栽培は昔ながらのやり方に徹している。枯葉と竹の粉を発酵させたものを蒔き、土の微生物を活かす。麻は、土に残留している毒、つまり化学肥料に含まれる硝酸体窒素を吸い上げてくれる特性があるそうだ。だから化学肥料を使うと本末転倒になる。だから使わない。さらに麻は、普通の植物と比較すると、酸素を3~4倍供給して空気を浄化する優れた植物だそうだ。

 

麻は衣食住すべてを兼ね備えた稀に見る植物である。麻袋は100年の月日を物ともせず、麻の実は抗酸化作用に優れ美味しい。麻炭は解毒効果が高い。また建材として蔵の土壁にスサを入れれば強度が変わり100年200年もつという。これはほんの一例にすぎない。

 

それではなぜ、大麻が危険とインプットされているのだろう。私が危険と思う大麻と、上野さんが栽培している大麻は同じなのだろうか。違うらしい。産業用大麻は麻薬成分がない。安心して大麻の魅力をひもとこう。

 

大麻のことは封印されたように知らないことばかりだが、日本は過去、大麻の国だった。伝統文化にかかせない存在だった。

言われてみればわかる。和太鼓、鼓、横綱のまわし。そして伊勢神宮では2700年間、ヌサという麻の繊維で神事の払いをしているそうだ。麻の代わりは他の植物にはできない。

 

麻に秘められた可能性は果てしなく、環境を浄化し、人、企業、行政をも軌道修正させているかのようにみえる。

上野さんが住む智頭町は、自給の力を高め、移住者がつづいている。限界集落がエネルギーに満ちているという。

 

聞き手の辻信一氏が、智頭町の動きは「グローバルからローカルへ」転換していく世界史的な流れを先取りしたモデルだと教えてくれた。

 

可能性に満ちた産業用大麻のお話は、未来に光がさしたようだった。

加藤 ナルミ

中村愛の自由帖 『石の声に耳を傾けて・・・』

 

2月4日、善了寺での「穴太衆(あのうしゅう)積」石張りワークショップは快晴に恵まれ、多くの方にご参加いただきました。

初めて耳にした方も多かった「穴太衆」。

穴太とは、滋賀県大津市の坂本に今も残る地名で、古代より高度な技術をもつ石工の集団がこの地に居住していました。お膝元である比叡山延暦寺の土木と修繕作業などを行っていた人々はやがて「穴太衆」と呼ばれ、織田信長の安土城を始め、寺院や城郭などの石垣施工を行ってきた技術者集団として全国にその名が知れ渡りました。

今回、その技術を今も継承しておられる「株式会社粟田建設」の15代目石匠、粟田純德氏のご指導の元、建設中の藁のお堂『聞思堂』で石張りワークショップを開催することができたのです。

  

  

何十年と修業を積んだ職人さんには聴こえる「石の声」、必死に聞こうと皆さん一つの石をじっくり観察しています。初めての私たちには聞くことはできないでしょうが、自然の声に耳を傾けるってすごく大事なことであり、忘れかけていたことかもしれません。

  

石垣部分はワークショップ前に仕上げていただいていたのですが、コンクリートを一切使わず、自然のままの石だけを積み上げる技術の素晴らしさは圧巻でした。「この時代だからこそ自然は自然のままに」と語る純德さん。自然素材でできている藁のお堂との相性もバッチリでした。

第2部では、純德さんのお父さんで14代目石匠の粟田純司氏をお迎えし、氏の講演と、スローデザイン研究会の大岩との対談というかたちで「穴太衆積み」の起源と独特の技法、東日本大震災と石積み、ワークショップの意義などについてお話いただきました。

「石の声を聴き、石の行きたいところへ積んでやる」。石の声が聴こえるようになってくると、仕事だけでなく周りの人との付き合いもうまくいくようになったそうです。

 穴太衆積みは見えている部分だけが丈夫なわけではありません。その奥に潜む無数の小さな石たちが土台を築いているのです。外見より内面を磨くことで成長できる人も同じなのかもしれませんね。

「善了寺 聞思堂」の現場報告1 粕川幸恵

これから、神奈川県横浜市戸塚区の善了寺にて建設中のストローベイルのお堂『聞思堂』の工事経過を遅ればせながら随時UPしていきます。

第一期10/29~11/11、第二期11/14~11/24までの約1カ月間という長期に渡った、ストローべイルワークショップ。天候に恵まれ、大きな事故もなく無事終了することができました。地域の方をはじめ、鹿児島、和歌山など遠方からも足を運んでいただき、本当にありがとうございました。延べ250人程の方に参加いただき、まさに奇跡のワークショップとなりました。

【ストローベイル】

ストローベイルとはベイラーという機械で、直方体に圧縮した藁(わら)のブロックのことです。今回はサイズW650~700・H320・D420の稲藁で、愛知県と兵庫県のものを全部で約110個使いました。

 

【基礎】

基礎の型枠にはベニヤを一切使わず、宮城県栗駒の杉板でパネルをつくって型枠にしました。ストローベイルをのせるための基礎は内と外、二重に作り、その上に杉板を張って台にします。ここまでは本職大工さんの仕事です。

 

ストローベイルワークショップは、スローデザイン研究会メンバーで藁積み職人のホルツヒューター・カイルさんの指導のもと、進められました。カイルさんはアメリカ人ではありますが、驚くほど日本語が堪能です。しかも、心はまるで日本の職人さんです。人柄と、とても丁寧な指導で大評判でした。

 

【藁積み作業】

まずは下準備です。これから積むストローベイルを安定させるため、台となる杉板に土を塗ります。そして、一段目のベイルを積み、シュロ縄でしばっていきます。二段目のベイルを積み、シュロ縄で固定したら、竹串(長さ550mm位)を木槌で打ちつけ、一段目と二段目を固定していきます。この作業を三段目、四段目…と、壁の高さまで繰り返します。男性が木槌で思いっきりたたいても、竹串はなかなか入っていきません。皆さん、真剣そのものです。ベイルを積み終えたら、隙間に藁を小さく束にしたものを埋めていきます。これも大切な作業です。

 

【籾殻燻炭】

籾殻燻炭とは籾殻を燻して炭化させたものです。通気性・保温力がよく、虫除け効果も抜群で透水性もあります。色は真っ黒。さわり心地はサラサラです。一般的には畑などで土壌改良剤として使われています。

【断熱材としての籾殻燻炭】

ストローベイル壁の上、天井に近い壁部分には、籾殻燻炭を断熱材として使用しています。内側と外側に、不織布を加工した建築用シート(透湿・防水・遮熱のあるもの)を張り袋状にします。そこに、ペットボトルの先端をカットしたスコップで籾殻燻炭を少しずつ詰めていきます。高所の作業なので大工さん方の協力を得て手作業で入れていきました。

 

【断熱材として屋根に詰めるウール】

屋根部分に詰める断熱材には相根昭典さん率いる「素材工房」の天然ウールを使いました。断熱性に優れ、結露を防ぎます。天然素材で化学物質を含んでいないので、シックハウスの原因となる有害物質「ホルムアルデヒド」を含んでいません。しかも防音性に優れ、燃えにくいと、いいことずくめの素材です。

【竹小舞(内壁)】 

割り竹を格子状に取り付けていきます。まずは横から。柱と間柱に竹をビスで止めます。竹と竹の間を指二本分くらい開けながら、壁一面に取り付けます。横が終わったら、縦方向を取り付けます。竹が動かないように数箇所ビスで止めてから、横の竹と密着するように、ところどころシュロ縄で編んで止めていきます。土をあまり厚く塗れない場所、柱の表面や窓、ドアの周辺部には、シュロ縄や藁縄でぐるぐる巻きにした竹を取り付け、土が付きやすいようにします。

 

 

【土壁(内壁下塗り)】

藁スサを多めに混ぜた土を、竹小舞の上から手でしっかり塗りこんでいきます。次に表面をある程度整えながらコテで塗っていきます。表面が少し乾いたところで、コテの側面を使い、ギザギザの模様を付けていきます。土を塗り重ねるときに付きやすくするためです。さらにその上に、藁スサを少しだけ入れた土をコテで薄く塗り、きれいに整えていきます。ここまでが下塗り作業です。これから数ヶ月じっくり乾燥させていきます。藁スサの分量はカイルさんの経験値です。

【土壁用の土】

愛知県から取り寄せた粘土質の土に水を加え、細かい藁などを混ぜ、発酵させたものを使っています。

 

ワークショップは一端終了しましたが、皆さんの温かい思いが詰まった『聞思堂』の建設は今なお続いています。そして一人一人が関わった作業は、ほんの一部かもしれませんが、思いは確実につながっていると思います。

また次回、経過報告をさせていただきますのでお楽しみに!

まちカフェ京都                                             住み家(すみか)と棲み家(すみか)が出会う家 ~住まいを通してつながる命~

 

              

11月23日(水・祝) 第6回まちカフェ京都にて大岩剛一が講演を行いました。主催者のまちカフェ京都実行委員会さん、ご参加いただいた皆さん本当にありがとうございました。

今回は主催者のミクロさんのご感想を掲載させていただきたいと思います。

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「住み家(すみか)と棲み家(すみか)が出会う家 ~住まいを通してつながる命~」
ゲストを建築家の大岩剛一さんをお迎えして、開催しました。
大岩さんは、家の話から、周りの環境や文化、日本人の心まで、幅広い話をしていただきました。とても心に残るお話ばかりで、なにより大岩さんの想いや人柄がとても素敵でした。印象的だった言葉は、「人間にとって安全で過ごしやすい環境、というのは他の動物にとっても安全で過ごしやすい環境、ということ」虫は、今の日本の暮らし方では嫌われていて、虫のいない家、暮らしが良いとされているけれど、本当は色んな虫が家を行き来する環境というのが大切なんだ、と この言葉を聞いてはっと気付きました。大岩さんといえば、藁の家「ストローベイル・ハウス」の研究や普及活動もされているのですが、藁を使った家って、とっても温かく、落ち着く空間になるのだそうです。お米が主食の日本人にとって、藁って昔から身近で親しみやすい素材ですものね。

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えこさん特製のかぼちゃケーキに、やよいさんが用意してくれた真っ赤なもみじが目に嬉しいお茶の時間も、参加者のみなさんに楽しんでいただきました。飲み物も温かいものになって、季節は冬へと移ってきましたね。自分の家の居心地良さも大切ですが、周りの環境も大切に生かした暮らしをすることで、私たちはもっと豊かな生活が送れるのではないでしょうか。今回も楽しいお話とたくさんの出会い、美味しいケーキに温かい飲み物で、心も体もほっとする ひとときを送ることが出来ました。

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大岩さん、参加していただいたみなさん、ありがとうございました!まちカフェ京都で、また会いましょう。

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 【まちカフェ京都について】
http://d.hatena.ne.jp/machicafe-kyoto/
京都は元々職住一体の町。仕事も暮らしも別々ではないこの町と同じように、ゲストと共に日々の暮らしにつながる様々なことをお話ししようという場です。 お茶でも飲みながら、楽しい時間を共有しましょう。

【主催】まちカフェ京都実行委員会・春風  http://d.hatena.ne.jp/machicafe-kyoto/
【共催】京町家さいりん館室町二条  http://www.sairinkan.com/

中村愛の自由帳帖 『人々のつながり、地域のつながりを見守ってくれる聞思堂』

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神奈川県横浜市戸塚区の善了寺にて建設中のストローベイルのお堂『聞思堂』“ワイワイ、藁わらストローベイルのお堂作りワークショップ”には全国から多くの方の参加がありました。11月11日は朝から雨降り、そのせいかお寺に近づくと雨の匂いと混じり懐かしいような、心が穏やかになる香りがしてきました。

まずは土壁の材料づくり、土と藁を同じ割合で混ぜ合わせていきます。

善了寺2

泥遊びをしているみたいで、思わず笑みがこぼれます。これがお堂の壁になるんだ、と思いながらこねていると、子どもの頃、木の枝や葉っぱを集めて秘密基地をつくっている時のワクワク感を思い出しました。

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そして出来上がった土を壁に塗っていくのですが、鏝で塗るのかと思っていたらこれも手作業だったことに驚きました。何度も何度も塗り重ねて、一つの壁に何人もの思いが積み重なっていきます。人の手って不思議です。「手当て」という言葉があるように、子どもがお腹痛いとか熱があるとなると親は一番に手を当ててあげます。それで子どもは安心するのですよね。他にも竹串をつくったり、シュロ縄に竹串を通したり、全てが手作業で作られるこのお堂は関わる全ての人とたくさんの会話をしなが出来上がっていくのでしょう。 

善了寺4

善了寺6

善了寺5

善了寺の成田住職は、「ストローベイルでお堂をつくることになったのも、建設が動き出してからも、出遭いの連続です。ワークショップに参加した人は重労働にも関わらず『土をこねて癒されました』と喜んで帰っていく。その言葉を聞いて、お寺とは本来こうやって作られていたものなのじゃないか、誰かの持ち物ではなく、みんなの持ち物であり、人々や地域の繋がりを深めていく場所になって欲しい」と語られていました。

木も藁も土も竹も生きている。建物なのに森の中にいるような、初めに感じた香りは自然そのものだったのだと思います。第2の生命を与えられたこのお堂には優しい空気が流れ、この場に集う人々を見守ってくれる力があると感じました。

そして夜は

非営利中間法人 天然住宅の相根 昭典氏と文化人類学者で明治学院大学教授の辻 信一氏による『からだにこころに環境に優しい住まい、暮らしとは?』をテーマにしたトークカフェ。成田住職も加わって聞思堂についてもお話いただきました。

善了寺7

まず今、日本の木が使われなくて、雨が降っても土砂崩れが起き、治水能力を持たない山になっているという森林の現状をお聞きしました。日本の森林率は国土の約66%と高い数字なのに、自給率は20%と低く、外国産の安い木材を多く輸入し使用しているということ、今まさに話題になっているTPP問題です。日本の木材は関税を撤廃したことによって、手間をかけないで大量生産できる外国の木材に市場を奪われました。木が使われなくなった日本の山は荒れ果て、今では国や地方の補助金がないと整備できない状況になっています。辻氏もおっしゃっていましたが、林業も農業もGDPという物差しで測れば、重要性は低いのかもしれません。でも低いからといって日本の良き伝統や技術を捨ててしまう、また滅びてしまうということは、私たちの暮らす環境を破壊し、生活まで脅かされることになると思いました。山は生命を育む水を作ってくれる源であり、私たちの暮らしを守ってくれる存在だからです。

相根氏はこの問題を深く受け止め、国産の木材を使うことにより各地の林業および山林を復興し、エネルギー効率がよく化学薬品を使わない、環境と健康によい住宅を提供するプロジェクトを考え、宮城県栗駒山をモデルに展開されているということでした。今回の善了寺の聞思堂にもこの栗駒山の木材が使われていますが、成田住職は3.11東北地方太平洋沖地震の後だったので、聞思堂の建設をやるべきか悩まれたそうです。しかし相根氏から栗駒の木を使うことは、被災地の復興支援にもなるということを聞かれ、それなら今作ることにも意味があるのだと、建設を決断されたということでした。

現在の建物は国産材を使わないというだけでなく、環境にも私たちの健康にも影響がある化学物質がたくさん使われているそうです。高温乾燥機で木材の細胞を破壊し、有害物資であるホルムアルデヒドなどを含む接着材で固められた木材はもはや生物として扱われていません。

「木は生きている。生物として見てあげると木は答えてくれて、300年、500年と持つ家になる。優しい気持ちで作られた建物は空気がまろやかになり、とても居心地が良く人間の性格まで変えてしまうのですよ。」相根氏のお話を聞いていると、もっと住まいを見直したいと強く思いました。

善了寺の聞思堂は、本当に全てが自然で人々の優しい気持ちがこもっています。現代社会に失われた大切なモノを取り戻してくれる場所になってほしいものです。だからこそ与えられるだけでなく私たちも自然の一部としてこの世に生を受けている意味で、環境を構成するほんの一部としての役割も担っていかなくてはならないでしょう。

「スローカフェとスローデザイン」展 無事終了

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今年10周年を迎えた東京国分寺市のスローカフェ・コミュニティカフェの草分け的存在「カフェスロー」。その10周年を祝し、スローデザイン研究会のこれまでと今のプロジェクトを紹介する「スローカフェとスローデザイン~ポスト3.11を創る」が無事終了しました。

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展覧会には、非常に多くの方に来場いただき有り難うございました。スローデザイン研究会での今までの活動、そして今後の活動について、たくさんお問い合わせ頂きました。

今後、みなさまのご要望にお応えできるよう、このウェブサイトでももっと詳しく情報を提供してきたいと考えています。お楽しみに!

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(2011/6/2)

藁積みワークショップ@軽井沢が無事終了しました。

軽井沢の伊藤邸にて、5月14日から23日までの10日間に渡って実施されワークショップが無事終了しました。天気にも恵まれ、週末には多くの方々、近くは軽井沢、遠くはフィリピンから!の参加を頂き、ありがとうございました。

スローデザイン研究会メンバーで藁積み職人のホルツヒューター・カイルさんのとても丁寧な指導により、藁積み、土塗りなどが行われました。共同作業を通し、新たな出会い、話にも花が咲き、とても楽しい時間でした。また、現場の近所の方々が見学にみられるなど、すでに話題の家です。

土壁は、たくさんの時間と手間をかけて作られ、人々の思いが詰まった幾多の層からなっています。中に隠れた時間と思いは目には見えませんが、スローデザイン藁の家を通して、人々のつながり、地域のつながりは着実に育くまれています。

(2011/6/2)

4/23 戸塚アースディ 報告

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4月23日に行われた神奈川県戸塚・善了寺で行われた「戸塚アースディ」。

大岩剛一、落語家の古今亭菊千代師匠、戸塚のカルチャークリエイティブ(文化創造)の発信地「善了寺」の成田住職、そして、建築家そしてアーティストであり、「江戸に学ぶエコ生活術」著者であるアズビー・ブラウンさんらが集い、江戸時代の「住」生活について話されました。

昨今、江戸時代の人々の暮らしが、自然環境と有機的につながり、非常に「エコ」なものであったことはしばしばメディア等でも取り上げられます。(そんな暮らしを送る、例えば商人たちの立ち振る舞い「江戸しぐさ」という言葉がありますが、他人を思いやりながらも、非常に潔く魅力的であったそうです。お勧めwebサイト:NPO法人江戸しぐさ

この日は、スローデザイン研究会が主に関わる「住」を焦点に絞っても、自然と共生する多くの知恵に基づいていたようです。私たちは、江戸時代から現代に至るまで、何を失ってきたのかと考えさせられるお話でした。希望に満ちた新しいものを生み出すためにも、失ったものからヒントを得ることは、今、とても大切なことのように感じます。

「江戸に学ぶエコ生活術」(出版:阪急コミュニケーションズ)こちら

(2011/6/2)

スローカフェ写真展

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ストローベイルを用いた個性豊かなカフェや店舗の数々。
工事が終了しお店が無事スタートした頃、その店舗内にあるたくさんの人々の手によって作られたストローベイルの内装や外観を、プロのカメラマンの方々に撮って頂いた素晴らしい写真で記録しています。
ひとつのファイルにまとめているのですが、スローデザイン研究会の履歴書とも言えるファイルです。
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5月にはカフェスローの10周年に寄り添い、スローギャラリー(カフェスロー内)にて、スローデザイン研究会が手がけたカフェの写真などを展示する予定があります。
詳細決まりしだい告知いたします。
お楽しみに。

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代表・大岩剛一氏。カフェスローにて打合せ。
現在、日本の北から南まで合わせて、7件ものプロジェクトが進行中です。

(2011/2/20)

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